今年の読書

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2

ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)

ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)

ユダヤ警官同盟〈下〉 (新潮文庫)

ユダヤ警官同盟〈下〉 (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)

重力ピエロ

重力ピエロ

極北クレイマー

極北クレイマー

外科医 須磨久善

外科医 須磨久善

小太郎の左腕

小太郎の左腕

ぼくは猟師になった

ぼくは猟師になった

羆撃ち

羆撃ち

終の住処

終の住処

肝心の子供

肝心の子供

縛られた巨人?南方熊楠の生涯? (新潮文庫)

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猫楠 南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア)

猫楠 南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア)

ねぼけ人生 (ちくま文庫)

ねぼけ人生 (ちくま文庫)

床下仙人 (祥伝社文庫)

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ノーベル賞ゲーム―科学的発見の神話と実話 (同時代ライブラリー (343))

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ノーベル賞の決闘 (同時代ライブラリー)

ノーベル賞の決闘 (同時代ライブラリー)

ほんとうにすごい! iPS細胞

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クラゲの光に魅せられて ノーベル化学賞の原点 (朝日選書)

クラゲの光に魅せられて ノーベル化学賞の原点 (朝日選書)

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

人間の記憶とは、脳のどこかにビデオテープのようなものが古い順に並んでいるのではなく、「想起した瞬間に作り出される何ものか」なのである。


つまり、年をとると一年が早く過ぎるのは「分母が大きくなるから」ではない。実際の時間の経過に、自分の生命の回転速度がついていけていない。そういうことなのである。


 私たちが今、この目で見ている世界はありのままの自然ではなく、加工され、デフォルメされているものなのだ。デフォルメしているのは脳の特殊な操作である。
 実は、これはになにも視覚だけに限ったことではない。私たちは、本当は無関係なことがらの多くに因果関係を付与しがちである。なぜだろうか。
 ことさら差異を強調し、わざと不足を補って観察することが、あるいは、ランダムに推移する自然現象を無理にでも関係付けることが、長い進化の途上、生き残る上で有利だったからだ。世界を図式化し、単純化できるから。
 しかし、これはヒトがヒトたりえて間もない頃、生存自体が唯一最大の目的だった時の話。今や、私たちの目的は、生存そのものではなく、生存の意味を見つけることに変わった。ところが、かって私たちが身につけた知覚と思考の癖はしっかりと残っている。
 ヒトの目が切り取った「部分」は人工的なものであり、ヒトの思考が見出した「関係」の多くは妄想でしかない。さらに、私たちの脳は、比例で変化する現象は比較的うまく扱えるが、対数的に増えていくもの、振動しているもの、変化しながら動くものをうまく捉えることが苦手なようである。
 (中略)
 よく、私たちは、脳のほんのわずかしか使っていないなどと言われるが、実は、それは世界のありようを「ごく直感的にしか見ていない」ということと同義語だ。世界は私たちの気がつかない部分で、依然として驚きと美しさに満ちている。
 このことから、私たちは重要な箴言を引き出すことができる。「直感に頼るな」ということである。


生命体は口に入れた食物をいったん粉々に分解することによって、そこに内包されていた他者の情報を解体する。これが消化である。


 つまり、環境は常に私たちの身体の中を通り抜けている。いや「通り抜ける」という表現も正確ではない。なぜなら、そこには分子が「通り過ぎる」べき容れ物があったわけではなく、ここで容れ物と呼んでいる私たちの身体自身も「通り過ぎつつある」分子が、一時的に形作っているにすぎないからである。
 つまり、そこにあるのは、流れそのものでしかない。その流れの中で、私たちの身体は変わりつつ、かろうじて一定の状態を保っている。その流れ自体が「生きている」ということなのである。シェーンハイマーは、この生命の特異的なありように「動的な平衡」という素敵な名前をつけた。
 ここで私たちは改めて「生命とは何か?」という問いに答えることができる。「生命とは動的な平衡状態にあるシステムである」という回答である。
 そして、ここにはもうひとつの重要な啓示がある。それは可変的でサスティナブルを特徴とする生命というシステムは、その物質的構造基盤、つまり構成分子そのものに依存しているのではなく、その流れがもたらす「効果」であるということだ。生命現象とは構造ではなく「効果」なのである。


 生命は自分の個体を生存させることに関してはエゴイスティックに見えるけれど、すべての生物が必ず死ぬというのは、実に利他的なシステムなのである。これによって致命的な秩序の崩壊が起こる前に、秩序は別の個体に移行し、リセットされる。
 したがって「生きている」とは「動的な平衡」によって「エントロピー増大の法則」と折り合いをつけているということである。換言すれば、時間の流れにいたずらに抗するのではなく、それを受け入れながら、共存する方法を採用している。

ロハスの思考 (ソトコト新書)

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世界は分けてもわからない (講談社現代新書)

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マリス博士の奇想天外な人生 (ハヤカワ文庫 NF)

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地図のない道 (新潮文庫)

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グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

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マイ・ロスト・シティー (村上春樹翻訳ライブラリー)

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われらの時代・男だけの世界: ヘミングウェイ全短編 (新潮文庫)

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チャーリーとの旅

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辺境・近境 (新潮文庫)

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わがままなやつら

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ドーン (100周年書き下ろし)

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コズミック・マインド

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若い研究者へ遺すメッセージ 小さな小さなクローディン発見物語

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迫るアジア どうする日本の研究者 理系白書3 (講談社文庫)

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初めて人を殺す―老日本兵の戦争論 (岩波現代文庫)

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思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書)

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官僚たちの夏 (新潮文庫)

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眼中の人 (岩波文庫)

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猫町 他十七篇 (岩波文庫)

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シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代

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第七官界彷徨 (河出文庫)

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数学的にありえない 上 (文春文庫)

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数学的にありえない 下 (文春文庫)

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